本来の呼吸とその仕組み1
皆様こんにちは。
人間は毎日2万回も呼吸をしています。
呼吸で
肩こりが治ったり
腰痛が治ったり
落ち着いたり
と、様々な事を耳にしている方も少なくは無いと思います。
しかし、その事実を医学的な観点から説明出来る方はほとんどいないと思います。
勿論呼吸だけで全ての怪我や事象が治ることなどあり得ません。
ですが、体のスペシャリストとして大きな可能性を秘めている部分であるという事は申し上げられます。
呼吸の真実をご覧ください。
まず、呼吸をするということにあたって頭に置いて欲しいことがあります。
息を吸う、息を吐くということはこのような事が体内で起こっています。
息を吸うと
・横隔膜が下がる
・お腹の中の圧力が上がる(ビニール袋に息を吹き込みパンパンにするイメージです)
・横隔膜が下がる事により内臓が下がる(医療ドラマ等で内臓は柔らかい物と認識されていると思います、内臓は体内で大きく動きます)
・内臓が下がる事により(重たいものが体内の中で下がるので)重心が下がる
息を吐くと
・横隔膜は上がる(数歳と逆に動きます。横隔膜の動きの幅が大きいことが大切)
・圧力が下がる(減圧され、ビニール袋がパンパンでなくなり、緩くなるイメージです)
・内臓が上がる(下に押された内臓は自然と元の位置に戻ります)
・重心も上がる(内臓が元の位置に上がることで重心も高くなります)
このようなことを覚えておいて下さい。
これだけで体のことで想像できる事が多くあると思います。
例えばジャンプする時は重心が高い方が高く飛べるので、息を吐いた方が高く飛べます。
逆にスクワットのようなしゃがむ動作は、息を吸った方が重心が下がり(内臓が下がるため)、しゃがみやすくなります。
内臓が下がる分股関節の動きが向上し、日常では使いにくい股関節を優位的に使いやすくなります。これだけで体の使い方が大きく変わります。
スクワットやしゃがむ様な動作、のトレーニングの際に息を吸うということに関してさらに大切なことがあります。
それは
息を吸うということは体を安定させる
ということに繋がります。
人間の胴体部分を樽だと思ってください。
樽は木で出来ていて少し硬いので、柔らかな樽のイメージが人間の胴体部分です。
本来、息を吸うことにより腹部は膨張します。
この膨張こそ非常に大切で、柔らかな樽も中から外に押し出す強い圧力があればどんなに周りから他の力が加わったとしてもブレないほどに強くなります。
しかし、この膨張させる力が弱ければ、他の力が加わった時に樽の隙間から空気が漏れ出そうとして、いびつな樽になります。
そのため外的な圧力に弱く、潰れやすくなってしまいます。
このはみ出してしまったいびつな部分が人間でいくと腰痛や首痛に繋がってしまいます。内側からの圧力が弱ければ、樽自体の破損に繋がりダメージが出るのと一緒で、人間は骨にダメージが出てしまいます。
ということはまず、ここで
お腹が出ていることは決して人間にとって悪いことではないという認識を持ちましょう。
見た目的な問題はあるかもしれませんが、それは体脂肪を落とす他なく、見た目を気にしてお腹を凹ませていれば、突然腰痛や肩凝り(この原理も後程説明致します)等が出てくるのは目に見えています。
お腹を凹ませるまたはお腹を動かせない=体の支えを失う
と考えてください。
この樽の部分の外側の筋肉が部分的に弱くても均等に膨れないので効果を発揮してくれません。
前後左右は腹筋、背筋、腹斜筋です。
樽は上下にも広がるので、この部分が
横隔膜と骨盤底筋群
になります。
比較的日常生活で上手く使われないのがこの2つの筋肉になります。
横隔膜は呼吸を意識的に行うことで鍛えられ
骨盤底筋群は重りを持ち、スクワットや階段登りのようなトレーニングで鍛えることが可能です。
そうすることにより体幹部に理想的な樽が作れるようになります。
少し話は逸れますが
我々大人は子供の頃のようにゼーゼーハーハー言うような運動を全くしなくなりました。
特に現代はPCを毎日見ながら仕事を行い、電車や車で通勤しほぼ歩かない。
ご先祖様は平気で京都から東京まで歩かれていました。
我々は呼吸に必要な、お腹を振らませるような筋肉を日常的に使わなくなってきているのです。
横隔膜は自分の意思に反応してくれる筋肉です。横隔膜も使わなければどんどん使えなくなっていってしまいます。
私に「上手く体が使えてませんね」なんて言われている方もしばしばいらっしゃると思います。
歳を重ねたから体がしんどくなってきているのではなく、現代人は間違いなく運動不足なのです。
人間も動物です。
めんどくさがらず、しっかり運動してた方が周りに回って自分のためになりそうですね。
話を戻します。
理想的な樽が日常的に作れるようになれば、長時間座っていたとしても、首や腰を支える事が可能となります。
赤ちゃんのことを思い出してみて下さい。
産まれたての赤ちゃんは「まだ首が座ってないわねぇ」なんてこと聞いたりしますよね?
半年、1年経った頃には「首が座ってきて安定したわねぇ」なんて聞きますよね?
この間に赤ちゃんのお腹はどんどん、ぽんぽんになってきます。
そうなんです。この赤ちゃんのお腹こそ我々に必要なことなのです。
お腹を凹ませる又は動かせない人程、首が座りません。
それはなぜか
お腹を凹ませた状態または腹部が動かない状態が続けば、横隔膜は上に上りっぱなしになってしまい、腹式呼吸が出来なくなります。人間は呼吸をしなければ生きてはいけません。ですので、胸式呼吸(胸郭を広げて強引に呼吸をする方法)を行うようになります。胸式呼吸というのは本来の呼吸筋である横隔膜を使わずに、強引に胸郭を首周りの筋肉を使い、広げ肺に酸素を流し込む呼吸法になります。
少しここで肺の話をします。
肺というのは実は酸素を取り込むだけの機能を持った臓器であり、鼻や口から空気を吸ったり吐いたりしてくれる臓器ではありません。肺に空気を送り込むには主呼吸筋である横隔膜を上下運動させて空気を送り込むもしくは、副呼吸筋である首や肩の筋肉を使って胸郭を広げたり閉じたりしなければ機能しません。
話を戻して
お腹が動かせないということは主呼吸筋の横隔膜ではなく副呼吸筋である肩や首の筋肉を使って呼吸をします。
首や肩の筋肉を使って胸郭(あばら骨)を開いたり閉じたりして肺に空気を送り込もうとします。
しかし、首や肩の筋肉は本来の使い方は手を上げたり、首を動かしたりする筋肉です。
ということは、胸式呼吸を行えば行うほど首は前に引き出されてしまい、重たい頭蓋骨を支えるのにさらに疲労をします。
胸式呼吸といのは本来の呼吸法ではありません。勿論胸式呼吸も場面によっては正解ということもあるので決して悪者ではありません。
ですが体にとってはそれなりの負担がくるということになります。
これが前述しましたお腹を凹ませていると肩が凝る原理になります。
理想的な樽のお腹がつくれるようになれば首や腰の痛みとはかなり縁遠くなれます。
お腹が膨らませられるようになることで、こんなにも体が自由に動きやすくなりそうですよね。
勿論外側の筋肉のトレーニングがあっての呼吸法です。ただ重たい物を持つトレーニングではなく、日常的に体を動かしやすくするトレーニングです。
私のパーソナルトレーニングは毎日の生活が豊かになる、体が楽であり若い頃のパワフル感溢れるような毎日が過ごせる体と心を作るトレーニングです。
多少の重たいものを使いながら、体を大きく柔らかくしなやかに仕上げ、気持ちよく走って帰りたくなるようなトレーニングをしております。
コロナ禍の中でモチベーションや集中力が保てずに滅入っている方も多いかと思います。
我々と一緒にトレーニングをして、コロナでも気持ちのコントロールができるような体づくりをしていきましょう。
藤原 裕也