今回も研修でお客様のトレーニングを見学しました。
今回のお客様は右の脳梗塞の経験があり、その後遺症で未だに左半身が思うように動きません。
このお客様は遠方からですが2年ほど通われており、全体的には少しずつ良くなっています。
特に毎回状態がかなり違うのでその時々に合わせてトレーニングを行っていました。
「今日の調子はどうですか?」という質問から始まり、
お客様の自覚は「ボチボチ」とのことだったので、
実際の状況を把握するために「歩いてみましょうか」「何回か歩きましょう」と
歩き方の確認を行いました。
かなり右に片寄って歩いているのを見て、トレーナーが「左脚出すのしんどいですか?」と聞く
とお客様は「そんなに」とあまり気づいていないようでしたが
気づいたように「あ、自転車乗ったわ」と言いました。
するとトレーナーが「自転車乗ると調子悪くなりますね」と言って、
「サドルとペダルの高さが、、、」と歩きを見ながら自転車の話になりました。
トレーナーが「歩くと揃うときがあるな、、、」「脚からするか?」
と呟きながら、背骨の状態も見て、
「背骨は前回より悪くないけど、左の骨盤上がってるからな、、、」と言いました。
トレーニングは脳梗塞経験者という事で最初は全身の血流を良くするために
第二の心臓と言われるふくらはぎの加圧トレーニングから始まりました。
トレーニング中にお客様が「自転車乗ってた時に血行が良い感じした。」言うと、
トレーナーが「どこがどうなってそう感じました?」と聞き返し
お客様は「自転車乗ってるとき脚が暖かい感じした。」と答えると
トレーナーは「もも裏、足裏が暖かいなら『血行良い』ですが、
もも前、すねだと『筋疲労』かもしれないですね」と言いました。
歩いている途中に聞いた自転車のサイズ、漕ぎ方を想像してこのように言ったそうです。
これだけでも、日常生活からの情報の聞き出しと、
このお客様の現状を踏まえて考えないといけないのですごいなと思いました。
次に状態を見て骨盤を気にしていたいましたが、そのせいで上半身の筋肉の負荷があると考え、
ストレッチポールを使った胸のストレッチを行いました。
この時も一つ一つの動きを確認しながら行っていました。
このストレッチの後にトレーナーが「1回歩けますか?」と言って
歩きを確認すると少し歩き方整っていました。
そうするとトレーナーが「自転車っぽいな」と答え合わせをしているようでした。
動きを確認すると、上半身を全体的に動かすトレーニングを行いました。
この時は車の話をして和んだ雰囲気でした。
そのあと、負担のかかってる上半身の筋肉にアプローチするために
いつもと前回と同じトレーニングをしたのですが、途中で負担がかかってる
筋肉が違う事に気づき、前回と違うグリップを使ってトレーニングを行っていました。
ここでもう一度歩きを確認すると、かなり左脚にも体重が乗るようになっていました。
トレーナーが「さっきより左に立ってる感じしませんか?」と聞きましたが、
お客様にとっては右脚に体重をかける方が安定すると思っているので、
気づいていないようでした。
ただ明らかに歩き方のバランスは整っており、私は驚きました。
自覚と状態がかなり違うためそれをすり合わせながら行う大変さを感じました。
トレーナーが「自転車乗るとバランス崩れますよね。途中できつくないですか?」
と聞くとお客様は頷いていました。
ここでトレーナーはここで今回の体のバランスが崩れた原因を確信したように感じました。
次に行ったのが両足で立った時にバランスをとるためのトレーニングです。
左半身が動かない分右側で体を支えがちなので、バランスの取れた感覚を覚えるために
トレーナーが「右足はしっかり足裏でつかんでいる感じありますよね?」というと
お客様はうなづき、「左足はどうですか?」と聞くと「指先だけでつかんでる感じ」
とお客様が言ったので足の位置を調整して、確認してを繰り返していました。
その後、上半身が不安定で固まっている背骨際の筋肉を動かすトレーニングをしてから
脚のトレーニングを行いました。
脚のトレーニングは先にこれまでの上半身のトレーニングを行ったことで、
ストレッチポールを持って行いやすくなっていました。
ストレッチポールを持って股関節を動かすことで骨盤の中の筋肉を動かすことを目的に
このトレーニングを行っていたのですが、同時に「この場所、ここが正解です。」
と体重を乗せる位置の確認も行ってトレーニングを行っていました。
1つのトレーニングでも様々な面から考えることでこんなにも違った意味を持つこと
を改めて感じました。
トレーニングが一通り終わり、歩く時には左右差が軽減され、安定して歩けていました。
帰る前にお客様にお話を聞くと、「だいぶ良くなってきた。」と嬉そうに笑っていました。
今回はトレーナーにとっても一つ一つ確認しながらのトレーニングで
お客様の感覚をすり合わせて、一緒に作り上げるトレーニングだと感じました。
今回のお客様は病院のリハビリ等を受けても変わらず、
最後の砦のつもりで来られたそうです。
そんな方にも希望を持ってもらえる、笑顔にできる、
トレーナーのお客様への思いの強さを感じる見学であり、
私自身ももっとお客様のためを思い、「なんで?どうして?」という思いを大切に
経験を積んでいきたいと思いました。